
2025/05/29
デカさと細かさに震える! 鉄道ジオラマの魅力【基礎編】
鉄道博物館(てっぱく)の魅力を伝える連載記事、第2回のテーマは「鉄道ジオラマ」! 鉄道ビギナーの広報担当・Nさんが、その魅力や感想をたっぷりお届けします。壮大に広がる精巧なミニチュア世界は、鉄道や模型の愛好家はもちろん、ものづくりに興味がある方など幅広い人が楽しめる見どころがたくさんありますよ。
遠くからでもわかる「デカさ」、近くで見てわかる「細かさ」

皆さんこんにちは! てっぱくのNです。普段は広報や宣伝、イベントの企画を行っています。さて、「てっぱく☆マガジン」の第2回のテーマは本館2階にある「鉄道ジオラマ」。私自身、初めて見たときにはその迫力に驚かされましたが、今回はさまざまある魅力のなかでも基本的な情報に絞ってお伝えしようと思います。

鉄道博物館に入館して2階へ進むと、今回の記事の主役である国内最大級の鉄道ジオラマの展示エリアが広がります。入口から中を覗くと、少し暗めに設定された空間の奥に壮大なジオラマがライトアップされています。

このジオラマの特徴は、観客席との仕切ガラスがない展示方法にあります。これにより細部にまでこだわった風景やリアルに再現された列車の動きを間近で見ることができ、走行音までも聞くことができるという、鉄道ファンにとってはまさしく夢のような時間を過ごすことができます。
私が初めて鉄道ジオラマを見たときには、時間を忘れて思わずそのまま見入ってしまいました。全体を見ては「デカい!」とその迫力に圧倒され、近くで見ては「細かい!」と精巧さに驚く──そんなふうに、さまざまな方向からワクワクすることができるジオラマです。
具体的にはどれぐらいの大きさ?

先ほど「国内最大級の鉄道ジオラマ」と紹介しましたが、皆さんは具体的にどのような大きさかを想像できるでしょうか?
全体の大きさは、幅が約23メートルで、奥行が約10メートル。身近なものに例えると、学校などにある25メートルのプールやテニスコートと同じくらいの広さになります。また、電車1両の長さが約20メートルですので、それより少し大きいぐらいのサイズ感です。これで「国内最大級」の規模が少し伝わったでしょうか?

「Nゲージ」や「HOゲージ」など、鉄道模型にはいくつかの規格がありますが、てっぱくのジオラマで採用されているのはHOゲージ。在来線は1/80スケール、新幹線は1/87スケールの大きさとなり、1/150スケールのNゲージと比べると、迫力が違います!
線路については、ジオラマ全体を高架橋で貫く「新幹線」や、複々線(上下の列車が2本ずつ、計4線の線路が並ぶ区間)の高架線に3つの駅がある「通勤路線」、それぞれ複線の「長距離線」と「貨物線」のほか、途中駅に行き違い(同一線路を反対方向に走る2本の列車が互いに通り過ぎること)設備のある「非電化単線」、さらに急こう配を登る山岳部の鉄道として「スイッチバック線」と「アプト線」の計15線の本線があり、総延長約1,200mに渡って敷かれています。その上を、総数約1,700両からセレクトされた車両が走行しています。
まるで本物の鉄道旅行気分に! 細部へのこだわりも




そんな巨大な鉄道ジオラマには、これぐらいまで近づいて見ることができます。
駅設備や高架橋、鉄橋もできるだけリアルに、特徴ある形状を再現。線路もカーブする区間には緩和曲線やカント(車両がスムーズにカーブを曲がるために必要な線路の傾き)をつけ、高速でも安定した走行を実現しました。目で追っていると、まるで本物の鉄道旅行をしているかのような気分にさせてくれます。



特に夜間帯は、ライトアップされた幻想的な街並みに魅了されます。のんびりと眺めることのできる観客席も約210席あって、てっぱくの隠れたデートスポットの一つとなっています。

鉄道の歴史や文化を伝える資料としての役割

そんな鉄道ジオラマは、鉄道の歴史や文化を学ぶことができる貴重な資料のひとつでもあります。

てっぱくスタッフが解説しながら模型車両を運転する「解説プログラム」では、東北新幹線E5系「はやぶさ」と秋田新幹線E6系「こまち」の切り離し/連結シーンや、ひとつのエンドレス(環状線路)上で2本の列車が追いつきそうになりながらも安全に走るシーンの再現から、各時代の鉄道の変遷や技術の進歩を知ることができます。鉄道が社会に与えた影響を学習することができ、私も鉄道に対する興味がさらに深まりました。
今後はさらにディープな情報も……?

今回は基礎編でしたが、今後はなかなかお伝えする機会のない裏話も含め、てっぱく職員しか知らないディープな魅力を紹介する機会もあるかもしれません。鉄道ファンの方はもちろん、鉄道に興味を持ち始めた方にも楽しんでいただける内容を準備していますので、次回もぜひお楽しみに!
- ・鉄道博物館の公式サイトはこちらから
最近の「てっぱく☆マガジン」はこちら↓↓↓