埼玉 鉄道再発見!? 知られざる埼玉の鉄道の魅力をみつけよう!

鉄道博物館(てっぱく)の魅力を伝える連載「てっぱく☆マガジン」、第9回のテーマは、2025年12月13日からスタートした鉄道博物館 企画展「埼玉 鉄道再発見!~Discover Saitama~」について。埼玉の鉄道についてド素人だという広報担当のWさんが紹介します。

埼玉県のイメージとは……?

「埼玉 鉄道再発見」の入口へ

皆さん、埼玉県と言えばどんなイメージをお持ちでしょうか。私は鉄道博物館で働くまで埼玉県に全くゆかりがなく、思い浮かぶものと言えば、小江戸と呼ばれる歴史的な街並みで有名な「川越」が1番にでてきました。実際に住んでみると、良い感じに日常生活で必要なものが揃っていて、住みやすい場所だなと感じています。華やかさは少ないけど、住むにはちょうどいい……というような感じです。住みやすさのランキングでは大宮が上位に食い込むなど、隠された魅力があるのが埼玉県なのでは……?と思っております。

鉄道博物館では、現在そんな埼玉の鉄道にフォーカスした企画展を実施しています!! 今回は会期が長く、2025年12月13日(土)~2026年6月15日(月)まで。前期・後期に分け、前期は「国鉄・JR編」(現在は終了)、後期は「私鉄・三セク編」として、埼玉県の鉄道の魅力を再発見してもらえるような企画展となっております。

数々の節目を迎えた埼玉県の鉄道

埼京線40周年ラッピングを施したE233系(2025年10月4日、大宮~日進)

今回なぜ埼玉県の鉄道を取り上げたのかご紹介します。

まずは、2025年3月に大宮駅が140周年を迎えたこと。さらには、東北本線大宮~宇都宮間の開業から140周年、大宮操車場開設100年、埼京線開業40年、川越鉄道(西武鉄道新宿線の前身)開業130年、武蔵野鉄道(西武鉄道池袋線の前身)開業110年、首都圏新都市鉄道が開業20年を迎えるなど、埼玉県内の鉄道にとって、2025年は節目の年にあたりました。これを機に、本企画展では改めて埼玉県内の鉄道のあゆみを振り返っています。ここまで埼玉県に特化した企画展は、鉄道博物館では初めての開催となります。

縦の移動はピカイチ? 埼玉県の鉄道の特徴は……

皆さんは埼玉県の鉄道の特徴をご存じでしょうか。私は、埼玉県に住んでみて初めて気づいたことがあります。それは、東京へ向かうときなど縦の移動は京浜東北線や埼京線といった複数の路線が走っていて楽なのですが、横の移動がしにくい!ということです。乗換案内で検索をしてみると、場所によっては一度東京に出て乗り換えるという検索結果がでたりして驚くこともありました。では、埼玉県の鉄道網はなぜこのように発展してきたのでしょうか。企画展の内容を少しご紹介します。

1883年7月に、上野~熊谷間に埼玉県最初の鉄道が開業して以来、埼玉県は常に「首都・東京と全国各地を結ぶ鉄道の通過地」という性格を与えられました。東京各所を起点とし、埼玉県内を「縦(南北)方向に結ぶ路線」の建設が優先され、県内を「横(東西)方向に結ぶ路線」が十分に発達せず、各地から東京へ向かうことは便利でも、県内各所を連絡するには制約が多い鉄道網が形成され、今にいたっています。

現在の埼玉県内の鉄道の総延長は約720㎞で、その約半分がJR路線、残りが私鉄・第三セクター鉄道の路線となります。東京に近い県南部ほど路線密度が高く、北へ向かうほど密度が低くなります。JR/私鉄とも、東京各所を起点とした南北の路線が多くを占めるのが特徴で、東西方向の路線は、武蔵野線、川越線、東武鉄道野田線、秩父鉄道本線に限られています。

この企画展では、まず最初に埼玉県内の鉄道の変遷を網羅的に取り上げ、どのように埼玉県の鉄道網ができたのか、年表や地図などを取り入れて解説しています。次に展示しているのが「鉄道の町」と大宮です。

“鉄道の町”・大宮

“鉄道の町”・大宮

日本には、「鉄道の町」と呼ばれる地域が多数存在しています。岩見沢(北海道)、新津(新潟県)、横川(群馬県)、米原(滋賀県)、多度津(香川県)、鳥栖(佐賀県)などが「鉄道の町」として知られていました。国鉄が明確な定義を定めていたわけではなく、なんとなく「鉄道の町」として自称するようになったということのようです。いくつかの鉄道路線が集まることで現業機関が置かれ、そこで働く職員や家族が多数住む地域が「鉄道の町」として認識されるようになっています。

大宮は、現在でも東北、上信越、北陸地方への鉄道路線の分岐点として機能しており、「鉄道のまち 大宮」として、鉄道に関わるイベントや鉄道を活用したPRも盛んにおこなわれています。鉄道博物館が埼玉県さいたま市に設立されたのも、大宮が「鉄道の町」として発展してきたことがひとつの理由です。

大宮駅が開業したのが1885年です。その後、大宮には機関庫や車両工場、操車場などをはじめ、さまざまな鉄道関連施設が設けられました。大宮では多数の鉄道員が働くようになり、職員の家族も大宮周辺で暮らすようになりました。これにより、大宮町の人口のうちの多くを鉄道関係者が占めるようになり、大宮は「鉄道の町」として自他ともに認められる存在となっていきました。

大宮駅の設置までどのように鉄道網が計画され、設置されたのか、また、「鉄道の町」として大宮がどのように発展していったのか。今回の企画展では画像や地図などと共に解説をしています。

その他、前期では「国鉄・JR編」として、東北本線や高崎線、八高線、川越線、武蔵野線、埼京線、東北・上越新幹線の各線の歴史的変遷を展示していました(現在は終了)。

企画展会場内の様子を少しご紹介①

そして現在は、後期「私鉄・三セク編」を開催しており、東武鉄道や西武鉄道、秩父鉄道、埼玉新都市交通(ニューシャトル)、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、埼玉高速鉄道など、各会社の歴史と変遷を展示しています。

埼玉県内を走る鉄道が一堂に!!

今回の企画展の一番の見どころは、何と言っても、たくさんの鉄道会社の歴史や変遷を知ることのできる資料が、一堂に会しているということです。各鉄道会社さまから資料をご提供いただき、左を見れば東武鉄道、右を見たら西武鉄道、次のブースへ行ったら秩父鉄道の貴重な資料!といったような、埼玉県内を走る鉄道が好きな人にはたまらない展示となっております。

また、鉄道が好きという方以外でも、ご自身の住んでいる町が、鉄道の発展によってどのように変化をしてきたか、通勤や通学で利用している鉄道がどのようにできたのかなど、新たな発見ができるような企画展となっております。

今回の企画展を担当した学芸員にイチ押しを聞いてみたところ……

企画展会場内の様子を少しご紹介②

秩父鉄道の「デキ1形に装備された鐘」をぜひ見ていただきたいとのこと。「デキ1形」とは、日本に輸入された初の本線用大形電気機関車で、5両が輸入され、当初は石灰石・セメント輸送に使用されていました。後年は入換や一般貨物に使用されるようになり、最後の1両は1994年に廃車となりましたが、この機関車のボンネットには大きな鐘が取り付けられていました。

鉄道車両と鐘、一見すると関係性がないように思われるかもしれませんが、米国製の機関車は鐘が設置されることが多かったようです。走行中に周辺への注意喚起に使用したものではないかと考えられ、当館の車両ステーションに展示されている弁慶号機関車(7100形)にも大型の鐘がボイラー上に装備されています。

日本では珍しい鉄道車両の鐘ですが、現在、西武鉄道山口線のバッテリー機関車(おとぎ電車)が装備していた鐘を含め、3点が鉄道博物館に集結していることにも注目していただきたいです。なかでも秩父鉄道の「デキ1形に装備されていた鐘」は、お貸し出しにあたってさまざまなご協力をいただき展示が実現したという経緯もあり、ぜひ皆さまに実物をご覧いただきたい一点です。

大人からお子さままで楽しめるイベントが目白押し!

「手書きの鉄道新聞 JR九州「鉄聞」展 ~みんなでつくる鉄聞の世界~」の入口へ

今回の企画展では、コラボイベントも開催しています。

まずは、JR九州・東京支社の社員が手書きで制作する「鉄聞」と初めてのコラボレーション。通常はJR九州の鉄道の沿線情報や地域の魅力をお届けしている「鉄聞」ですが、今回は九州を飛び出し、てっぱくの中で「埼玉にゆかりのある車両や食の魅力」について紹介する、「鉄聞~てっぱく特別出張編~」を企画展会場内にて限定配布しています。ぜひゲットしてみてください。

JR九州東京支社の「鉄聞」が鉄道博物館に!?

また、企画展会場の隣のスペシャルギャラリー2では、本企画展のコラボレーション第2弾として、「手書きの鉄道新聞 JR九州「鉄聞」展 ~みんなでつくる鉄聞の世界~」を開催。これまでに発行してきた「鉄聞」の大型パネルなどが展示されています。温かみのあるイラストが満載で、細部まで「鉄聞」の世界が溢れる展示となっております。九州のことをたくさん知ることができるブースとなっておりますので、ぜひこちらもご覧いただければと思います。

「さいたまのとれたんず」ぬりえ(イメージ)

そして、今回は2025年12月に10周年を迎えた「とれたんず」ともコラボレーション。JR東日本をはじめ、様々な列車をモチーフにした新幹線と仲間たちが登場する「とれたんず」ですが、小さなお子さまにも埼玉県について知っていただきたいという思いを込めて、ここでは埼玉にゆかりのある「とれたんず」を集めたぬりえを作成しました。「さいたまのとれたんず」のぬりえは鉄道博物館でしか体験できません! 本館3階の科学ステーションにて開催しております。ぜひ楽しみながら埼玉県を知っていただければと思います。

「トレインレストラン日本食堂」のコラボメニュー「ゴールデンポークのカツレツ 特製デミグラスソース仕立て」

さらに、コラボレーションは館内レストランとも行っています。埼玉県を代表する食品ブランド「サイボク」の食材を使ったコラボメニューを、「ビューレストラン」と「トレインレストラン日本食堂」で提供しています。

ここでは、「トレインレストラン日本食堂」のコラボメニュー「ゴールデンポークのカツレツ 特製デミグラスソース仕立て」をご紹介。揚げ焼きされたカツレツは、衣がサクサクで、軽くぺろりと食べれてしまいます。豚肉の甘みも十分に味わいつつ、濃厚なデミグラスソースとの相性も抜群です。付け合わせのマスタードが効いていて、ちょっびり大人な味でした。

「ビューレストラン」のコラボメニュー『欧州国際食品コンテスト「金メダル」受賞のホットドッグプレート』

また、「ビューレストラン」では『欧州国際食品コンテストで「金メダル」受賞のホットドッグプレート』を提供しております。こちらもぜひご賞味いただければと思います。

当たり前に存在するために、普段は注目されることの少ない埼玉の鉄道。今回の企画展は、その知られざる歴史や役割、鉄道の開通による沿線地域の変遷などを知っていただきたいという思いが込められた内容となっております。埼玉の鉄道の秘められた魅力を、宝探しのように皆さまに発見していただけたら幸いです。

鉄道博物館 企画展「埼玉 鉄道再発見!~Discover Saitama~」

会期:
2025年12月13日(土)~2026 年6月15日(月)
・前期 2025年12月13日(土)~2026年3月9日(月)
・後期 2026年3月14日(土)~2026年6月15日(月)

会場:
鉄道博物館 本館 2F スペシャルギャラリー1

料金:
無料(入館料のみ)

  • ・鉄道博物館の公式サイトはこちらから
  • ・きっぷのお申込みはこちらから

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