【秋田観光】湯沢・増田の1泊2日モデルコース~発酵食と雪国文化を満喫~

「トレたび」とのコラボ記事の第3弾は、現在「誰と行く?冬の秋田」を開催中の秋田編! この記事では、湯沢・増田エリアの旅を通じてかの地の発酵・醸造文化をお伝えします。

皆瀬川を挟んで対岸に位置する、湯沢市岩崎と横手市増田。豊富な水資源と雪の多さを土台に、発酵・醸造文化を培ってきたエリアです。米、味噌、日本酒、漬物など、美味しいものが豊富に揃うこの土地の魅力を余すところなく満喫するなら、やっぱり冬の観光がおすすめ!

秋田生まれ・秋田育ちで地域の情報発信に携わっているフリーライターの私・丹波桃子が、この土地の酒と食、そして魅力いっぱいの雪国文化を堪能できるスポットを1泊2日のモデルコースでご紹介します。

秋田へは、秋田新幹線で!

秋田新幹線の画像
茜色が雪景色に映えます

横手・湯沢市内にアクセスするには、まず秋田新幹線「こまち」で大曲駅へ向かいます。東京から大曲までの所要時間は約3時間15分。車窓から広がる風景が雪景色に変わる様子を眺めながら、旅の始まりを感じましょう。大曲駅で奥羽本線普通列車に乗り換えて、下湯沢駅までは36分ほどです。

新幹線のきっぷ購入は「えきねっと」が便利です。まず、トップ画面で「新幹線・JR特急列車を探す」を選び、乗車駅、降車駅、日時、人数を入力して「列車を検索する」ボタンを押します。条件に合った経路が表示されるので、希望の時間を選んで「きっぷ・座席の種類選択へ進む」をクリック。きっぷと座席の種類を選んで決済画面に進むと、簡単にチケットを購入できます。

【1日目】歴史ある醸造のまち・湯沢で、イノベーションと伝統に触れる

大曲駅に着いたら、奥羽本線の福島方面行きに乗り換えて下湯沢駅へ。明治時代に岩崎藩が設置され、味噌や醤油の醸造地として発展してきた岩崎地域の玄関口です。なお、快速列車が停車しない無人駅なのでご注意ください。

「ヤマモ味噌醤油醸造元」のレストランで革新的な創作ランチコースを

ランチコース(5,500円)の一例。この日のメインは「蝦夷鹿のグリエと30年熟成味噌のソース」
醸造所内の画像
ファクトリーツアーでは神聖な醸造所内を巡りながらフィンガーフードをいただきます

江戸末期の創業から七代にわたり、家庭に欠かせない基礎調味料を醸し続けている「ヤマモ味噌醤油醸造元」。蔵元併設のレストラン「restaurant ASTRONOMICA(アストロノミカ)」では、長年の発酵実験で発見されたViamver®(ヴィアンヴァー)酵母を使った創作料理を提供しています。魚介のような旨味を生み出す酵母と旬の食材を組み合わせた革新的な料理は、口に運ぶたびに驚きの連続です!

しっかり味わうなら、予約制ランチコース(5~6皿5,500円、3~4皿3,850円)がおすすめ 。醸造所内を巡るファクトリーツアーとランチのセットプラン(11,000円)や、より深い体験ができるディナーツアー(33,000円)もあり、独創的な世界観を心ゆくまで堪能できます。また、カフェメニューや単品料理(酵母を使ったフォー)は予約不要で気軽に利用可能です。

ヤマモ味噌醤油醸造元

住所:
秋田県湯沢市岩崎124

問い合わせ先:
TEL 0183-73-2902

時間:
ストア・カフェ 10:00~17:30(16:30L.O.)
ランチ・ツアー 10:00~16:00(15:00L.O.)
※ランチコース、ディナーは完全予約制

定休日:
ストア・カフェ・ディナー 不定休
ランチ・ツアー 火曜・水曜

交通アクセス:
JR下湯沢駅から徒歩約17分

URL:
https://yamamo1867.com/

威風堂々とした姿で岩崎の人びとを守り続ける「鹿島様」

国道13号線沿いで睨みを利かせる「緑町の鹿島様」
千年公園内に祀られている「末広町の鹿島様」。冬は道中が雪深くなるため、訪問時は要注意

腰に刀を携え、険しい顔貌で睨み付けるように立つ、高さ4mほどのワラ人形「鹿島様」は、明治以前から岩崎地域を守り続けてきた道祖神です。かつては村の入口3か所に1体ずつ設置され、疫病や外敵、悪霊などの侵入を防いできました。現在は、千年(ちとせ)公園内の水神社境内裏手に2体、国道13号線沿いに1体が祀られています。

岩崎城址でもある千年公園を中心に、独自の文化と伝承がギュッと詰まっているディープな岩崎地域。そこかしこに点在する「岩崎郷土伝承カルタ」の標柱が、その奥深さを物語っています。「緑町の鹿島様」のすぐそばにある「湯沢市ふるさとふれあいセンター かしま館」に立ち寄ると、岩崎地域の行事や文化を辿れるイラストマップが貰えますよ。

湯沢市ふるさとふれあいセンター「かしま館」

住所:
秋田県湯沢市岩崎字寝連沢9-4

問い合わせ先:
TEL 0183-73-2904

交通アクセス:
JR下湯沢駅から徒歩約7分(かしま館、緑町の鹿島様)

URL:
https://www.facebook.com/kashimasama

「泥湯温泉 奥山旅館」に泊まり、天狗伝説の残る山間の秘湯で癒やされる

自然湧出のため、季節や天候によって温度が変わる白濁の湯
夕食には自家栽培の野菜や山菜・キノコなど、地域の旬の食材が並びます(一例)

JR湯沢駅からシャトルタクシーで約45分。栗駒国定公園内に位置し、ブナの原生林に囲まれた自然豊かなロケーションは、まさに秘湯そのものです。それぞれ源泉が異なる3つの湯は源泉100%かけ流し。特徴的な白濁の湯には、恥ずかしさから透明の湯に入れずにいた病の乙女のために、天狗がその湯を乳白色に変えたという、神秘的な伝説が残っています。

食事は地のものをふんだんに使った丁寧な郷土料理を提供。さらに、湯沢市内の一軒の生産農家のみで育てられている幻の希少黒毛和牛「みなせ牛」のヒレステーキ付プランも用意されています。手つかずの自然の中で心温まるもてなしに触れながら、時間を忘れてゆっくり過ごせる温泉宿です。

泥湯温泉 奥山旅館

住所:
秋田県湯沢市高松字泥湯沢25

問い合わせ先:
TEL 0183-79-3021

時間:
チェックイン 15:00~17:00 チェックアウト 10:00 日帰り入浴…10:30~14:30(※受付13:30まで)

定休日:
不定休

交通アクセス:
JR湯沢駅よりシャトルタクシーで約45分

値段:
一泊19,400円~(大人1人) 日帰り入浴…800円(子ども500円)

URL:
https://www.doroyu.com/

【2日目】「内蔵」が特徴的! 風情が漂う増田のまちを歩く

2日目は、下湯沢駅の隣の十文字駅を拠点に、増田地域を散策! かつて商人の町として栄えた増田には、明治~昭和にかけて建てられた趣あふれる商家が並ぶ通りがそのまま残っています。

「増田の町並み」を歩き、商人たちの暮らしに思いを馳せる

増田の町並みの画像
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています
増田観光物産センター「蔵の駅」の内蔵

増田の町並みの特徴は、主屋の中に「内蔵(うちぐら)」と呼ばれる蔵がある造りの建物がズラリと立ち並んでいること。多くは現在も住居や店舗として使用されており、内部の一般見学を受け入れている所も数件あります。まずは「増田の町並み案内所 ほたる」で散策マップをゲットして、まち歩きへ繰り出しましょう。

それぞれの建物の外壁には、旧増田町出身の漫画家・矢口高雄氏の「釣りキチ三平」のイラスト付き紹介文が貼られており、まるで町全体が博物館のよう! 通りを歩いていると、当時の人びとの暮らしへの想像がムクムク膨らんできます。カフェやコーヒースタンドなど、気軽にふらっと入れる店も多いので、ゆっくり時間をかけて回りたいエリアです。

増田の町並み案内所「ほたる」

住所:
秋田県横手市増田町増田字上町53

問い合わせ先:
TEL 0182-45-5541(増田町観光協会)

交通アクセス:
JR十文字駅からバスで増田蔵の駅下車、徒歩すぐ

URL:
https://masuda-matta.com/

「羽場こうじ茶屋くらを」で麹たっぷりの季節の御膳をいただく

旬の食材を、この地域で親しまれてきた調理法で提供する「麹屋の昼御膳」
味噌樽をイメージしたカウンターが印象的なショップ

増田観光物産センター「蔵の駅」の向かい側にある「羽場こうじ茶屋くらを」は、1918(大正7)年創業の麹屋が手がける食堂です。月ごとに献立が変わる「麹屋の昼御膳(1,760円)」は、季節の食材と麹を使った丁寧な品々が並ぶ贅沢なランチ。特に、大豆の3倍もの麹を用いて仕込む「特上㐂助(きすけ)みそ」のお味噌汁は、優しい甘みが身体の芯まで染み渡ります。ご飯はふっくら、ツヤツヤの増田産あきたこまちを使用しており、おかわり自由なのも嬉しい! 増田のお母さんたちの知恵と工夫がいっぱい詰まった料理が、身も心も温めてくれます。

併設のショップでは、量り売りの米麹茶や㐂助みそなどのオリジナル商品のほか、女将が厳選して取り寄せた乾物やキッチングッズも販売しています。

羽場こうじ茶屋くらを

住所:
秋田県横手市増田町増田字中町64

問い合わせ先:
TEL 0182-45-3710

時間:
11:00~15:00

定休日:
火曜・水曜・木曜

交通アクセス:
JR十文字駅からバスで増田蔵の駅下車、徒歩約1分

URL:
https://www.instagram.com/kurawo3710/
※12月後半~2月9日頃まで休業。訪問前にInstagramでご確認ください

「日の丸醸造」で限定酒の試飲を楽しみ、内蔵を見学

試飲用のサーバーの画像
内蔵見学をすると、高級酒を1杯試飲できるコインが貰えます
蔵元限定販売の純米吟醸酒(720ml 1,650円)

銘酒「まんさくの花」の醸造元として知られる、1689(元禄2)年創業の老舗蔵元。直売所では、日本酒や甘酒の試飲ができるほか、毎月酒米を変えて同一製法で醸す「巡米酒シリーズ」や、ここでしか手に入らない限定酒など、多くの銘柄が購入できます。さらに、一升瓶ホルダーや酒瓶を模したミニチュアのカプセルトイなど、遊び心あふれるオリジナルグッズも販売しているので、日本酒好きなら間違いなく楽しめるはず!

建物の奥には増田らしい内蔵があり、内蔵や酒造りにまつわる展示を自由に見学できます。人気漫画「もやしもん」の作者・石川雅之氏が酒蔵を訪れたことをきっかけに誕生した、麹菌のイラストが所狭しと描かれた仕込みタンク「もやしもんタンク」も必見です。

日の丸醸造

住所:
秋田県横手市増田町増田字七日町114-2

問い合わせ先:
TEL 0182-45-2005

時間:
10:00~16:00

定休日:
不定休

交通アクセス:
JR十文字駅からバスで増田蔵の駅下車、徒歩約3分

値段:
内蔵見学料:200円(お酒・甘酒の試飲付き)

URL:
https://hinomaru-sake.com/

「OK,ADAM」で横手産リンゴのお酒を飲み比べ&お土産ゲット

オリジナルグラスとオリジナルグラウラーの画像
スタイリッシュなオリジナルグラウラーも販売しています(写真右/4,800円)
ハードサイダーの画像
可愛いラベルのハードサイダーやリンゴジュースはお土産にもおすすめ

十文字駅から大曲行きの電車に乗り込む前に、ぜひ駅から徒歩3分のハードサイダーのタップルーム「OK,ADAM」へ寄り道を。横手産のリンゴをメインに、地元で採れた原料を使用したオリジナル銘柄3~6種に加え、国内外のサイダリー・ブルワリーから厳選した銘柄数種を提供しています。

ハードサイダーはリンゴを原料とした醸造酒で、果実の甘みや酸味をしっかりと味わえるのが特徴です。度数は比較的控えめなので、仲間と気軽にワイワイ盛り上がるのにぴったり。ビールの苦味が苦手な方にも人気です。

どれを頼むか迷ったときは、4種の飲み比べができるフライトセット(1,600円)がおすすめ 。好みの味を見つけたら、お土産や帰りの新幹線のお供に、瓶やグラウラーでテイクアウトしちゃいましょう。

OK,ADAM

住所:
秋田県横手市十文字町字大道東88-1

問い合わせ先:
TEL 0182-23-6316
またはInstagramのDMから

営業時間:
金曜・土曜・日曜・祝日 16:00~22:00 ※月~木曜は予約制

交通アクセス:
JR十文字駅から徒歩3分

URL:
https://okadamcider.com/

雪降る冬こそ楽しみたい! 暮らしに根付く美酒・美食

秋田県屈指の豪雪地帯、湯沢・増田地域において、厳しい冬を乗り越えるために先人たちが育んできた発酵文化。暮らしに深く根付いているからこそ、保存食としてだけでなく、美味しく食べるための工夫が数多く施されているのです。

雪深い町を散策しながらこの地域の伝承や歴史に触れ、地元の食やお酒を楽しむひとときは、他ではなかなか味わえません。ぜひ一度、冬の秋田を訪れて、その魅力を存分に堪能してくださいね!

  • ・秋田県冬の大型観光キャンペーン「誰と行く?冬の秋田」についてはこちらから

取材・文:丹波桃子
撮影:高橋希(ヤマモ味噌醤油醸造元、羽場こうじ茶屋くらを)
写真協力:湯沢市ふるさとふれあいセンター かしま館、泥湯温泉 奥山旅館

執筆者紹介

丹波桃子(たんば ももこ)

秋田生まれ・秋田育ちのフリーライター。地域の魅力と、そこに暮らす人びとの想いを大切にしています。

「秋田県」についての関連記事はこちらから↓↓↓

この記事をSHAREする

新着情報What's New

注目情報Feature

PAGETOP