「東北三大祭り」へ新幹線で行こう! 東北の“短くも熱い夏”を感じる「夏祭り」めぐり
2025/06/30

一度は行ってみたい東北の夏祭り。「東北三大祭り」をはじめ、いずれのお祭りでも各地の文化や風土、そして“短くも熱い夏”を体感できることでしょう。今年は新幹線に乗って、東北6県の“お祭りめぐり”を計画しませんか? きっぷの予約をはじめ、宿泊の確保や有料観覧席の申し込みなど、早めの準備をおすすめします。
東北の夏祭り、ここに注目!
東北を訪ねて、ぜひ体感したい夏祭りの数々。とくに人気が高い「青森ねぶた祭」「秋田竿燈まつり」「仙台七夕まつり」は「東北三大祭り」とされています。さらに「盛岡さんさ踊り」「山形花笠まつり」「福島わらじまつり」を加えて「東北六大祭り」と呼ぶことも。新幹線でアクセス良く行けるのも魅力です。本記事では、6県の個性豊かなお祭りの見どころと行き方を解説します!
【青森ねぶた祭】東北三大祭りの最高峰! 圧倒的な存在感の「巨大灯籠」



東北の夏祭りの代表といえる「青森ねぶた祭」。人形型の大灯籠「ねぶた」を専門とする「ねぶた師」が、下絵から彩色まで技術と魂を込めて作り上げます。歴史上の人物や歌舞伎などを題材にした、高さ最大5メートル、幅最大9メートルにも及ぶ豪華絢爛な超大作が、一年を通して制作されるとは驚きです。2025年の大型ねぶた運行は23台の予定です。
8月2日から始まる祭り本番は、各団体自慢のねぶたの運行と、笛、太鼓、手振り鉦を手にした囃子方が刻むリズム、「ラッセラー」の掛け声に合わせたハネトの乱舞が一体となる独特の雰囲気。運行コースに設置の有料観覧席から見える景色がどんなものか気になりますね。
「青森ねぶた祭」は全国的に知名度が高く人気のため、祭り期間中は広範囲で宿の確保が難しくなります。青森駅から鉄道・バス・レンタカーで移動できるエリアを候補にしましょう。
東京駅から新青森駅へは、東北新幹線「はやぶさ」で約3時間。新青森駅でJR奥羽本線に乗り換え、祭り会場最寄りの青森駅まで約5分です。まずはできるだけ早く宿を確保し、1ヶ月前には新幹線予約もお忘れなく!
インフォメーション
開催日時(毎年日付固定):
2025年8月2日(土)・3日(日)19:00~ 大型ねぶた運行
2025年8月4日(月)~6日(水)18:45~ 大型ねぶた運行
2025年8月7日(木)13:00~ 大型ねぶた運行、19:15~ 青森花火大会・ねぶた海上運行
開催場所:
青森市内
駅から会場までのアクセス:
JR青森駅東口から徒歩30分圏内
問い合わせ先:
青森ねぶた祭実行委員会事務局 TEL 017-723-7211
有料観覧席:
1名 3,500円(税込・パンフレット付)
一般発売 6月28日(土)10:00~ ※先着順
画像提供:
(公社)青森観光コンベンション協会
【秋田竿燈まつり】夏空へ差し上げられる竿燈……息をのむ心技体の名人芸



長い竹竿に9本の横竹を結び、46個の提灯を吊るした竿燈。収穫期を前に五穀豊穣の祈りを込め、空に差し上げられるその瞬間には、ほかの「東北三大祭り」にはない特有の緊張感があります「昼竿燈」では手に汗握る妙技で競い合い、「夜本番」では提灯の火を消さぬよう巧みに竿を操る──そんな鍛え抜かれた名人芸を、観客はドキドキして見守ることでしょう。
長さ12メートル、重さ50キロもの最大の竿燈は、持てるようになるまで1年、極めることは一生かかる妙技といわれます。差し上げた竿を利き腕1本で支え、体に沿って移動させながらも、しっかり根付いた稲穂のように動じない姿は必見。お囃子の音色に「ドッコイショー」の掛け声が重なると、熱気は最高潮! 点灯した1万個の提灯がたわわに実った黄金の稲穂のように夜空へ向かって揺れる様は、幻想的で忘れられない光景です。
「秋田竿燈まつり」を丸一日楽しむなら、宿は確保したいところ。祭りの合間に寄れる秋田駅周辺が便利ですが、JR奥羽本線大曲駅方面まで広げれば確実でしょう。
東京駅から秋田駅へは、秋田新幹線「こまち」で約3時間40分。経由する盛岡駅で、連結する東北新幹線「はやぶさ」と分かれます。1ヶ月前から新幹線予約ができるので、7月3日までには計画を立てておきたいところです。
インフォメーション
開催日時(毎年日付固定):
2025年8月3日(日)~6日(水)
夜本番は18:50〜21:00頃、昼竿燈は9:00〜15:40頃
※3日は夜本番のみ。6日の昼竿燈は9:20〜15:00
開催場所:
夜本番 竿燈大通り
昼竿燈 エリアなかいち にぎわい広場
駅から会場までのアクセス:
JR秋田駅西口から徒歩約15~30分
問い合わせ先:
秋田市竿燈まつり実行委員会事務 TEL 018-888-5602(秋田市観光振興課内)
有料観覧席:
3,500円~4,500円 ※先着順
観覧席予約センター TEL 018-866-9977(平日の10:00〜17:00)
URL:
https://www.kantou.gr.jp/
画像提供:
秋田市竿燈まつり実行委員会
【仙台七夕まつり】東北三大祭りの締めくくり!「笹飾り」が魅せる伝統と彩り



開催期間中に約200万人が訪れる「仙台七夕まつり」は、動的なほかの東北六大祭りとは対照的に、優雅な「静」の祭りです。「七夕」は、中国の星まつりを起源とする伝統行事が日本全国に広まったもの。その規模も日本一を誇る仙台では、新暦の1ヶ月遅れの暦である中暦を用い、現在の8月6日から8日に開催されます。
特徴は、藩祖・伊達政宗公の時代から受け継がれてきた「笹飾り」。大きなくす玉や、豪華絢爛な10メートルの吹き流しなど、和紙を使った細やかな工夫が凝らされています。会場となる仙台駅前から中央通り、一番町通りのアーケード街にかけて、商店街ごとにメインの大きな飾りが付けられています。周辺の地域商店街にも、昔ながらの素朴な笹飾りが。期間中は街歩きとともに、いつでも七夕飾りを観賞することができます。
「仙台七夕まつり」をじっくり楽しむなら、まずは宿の確保を。仙台駅周辺が便利ですが、仙台駅から在来線・バスで移動できる温泉地も候補にすれば、楽しみも倍増。仙台近郊の秋保温泉、作並温泉、松島温泉は、一度は訪れたい人気の温泉地です。
東京駅から仙台駅へは、東北新幹線「はやぶさ」で約1時間30分。新青森駅から仙台駅へは同利用で約1時間35分。1ヶ月前から新幹線予約ができるので、7月6日までには予定を決めるのがおすすめです。
インフォメーション
開催日時(毎年日付固定):
2025年8月6日(水)~8日(金)、前夜祭5日に花火
開催場所:
仙台市中心部および周辺の地域商店街
駅から会場までのアクセス:
JR仙台駅西口から徒歩30分圏内
問い合わせ先:
仙台七夕まつり協賛会 TEL 022-265-8185(事務局:仙台商工会議所)
URL:
https://www.sendaitanabata.com/
画像提供:
仙台七夕まつり協賛会
【盛岡さんさ踊り】東北の夏祭りの一番乗りに 打ち響かせる「さんさ太鼓」



ミスさんさ踊り、さんさ太鼓連、伝統さんさ踊り団体、一般参加の集団が順々に群舞し、太鼓、笛と笑顔のパレードで観客を楽しませてくれる、盛岡の夏の風物詩。むかしむかし、さんさ踊り発祥の地といわれる「三ツ石神社」で、悪い鬼の退散を喜び「さんさ、さんさ」と踊って神様に捧げたそうな。
各地で代々受け継がれてきた踊りをもとに、誰もがパレードに参加しやすく創作したものが「統一さんさ踊り」。揃いの浴衣や色とりどりの衣装を身につけ、4日間で約200団体が披露します。「サッコラーチョイワヤッセ」といった掛け声が耳に残り、最終日には街じゅうに鳴り響く「世界一の太鼓大パレード」に心を打ち抜かれるかも……。じっくり観賞できる、事前予約制の有料観覧席もおすすめですよ。
「盛岡さんさ踊り」を十分体験できるよう、宿は確保したいところ。盛岡駅周辺が便利ですが、市内に宿がとれなければ、JR東北本線矢幅駅~花巻駅まで広げてみましょう。
東京駅から盛岡駅へは、東北新幹線「はやぶさ」で約2時間10分、「はやて」だと約2時間30分です。1ヶ月前から新幹線予約ができるので、7月1日までに予定を検討したいですね。
インフォメーション
開催日時(毎年日付固定):
2025年8月1日(金)~4日(月)、各日18:00~21:00
開催場所:
盛岡市中央通会場(メイン)
駅から会場までのアクセス:
JR盛岡駅東口から徒歩約15分
問い合わせ先:
盛岡さんさ踊り実行委員会事務局TEL 019-624-5880
有料観覧席:
4,000円 ※全席指定、先着順(各日約200席予定)
画像提供:
盛岡さんさ踊り実行委員会
【山形花笠まつり】咲き誇る「紅花」の笠を手に、多彩な踊りで観客を魅了



「ヤッショ、マカショ」の掛け声とともに、花笠太鼓の勇ましい音色が山形の夏の夜に響き渡ります。華やかな衣装に身を包んだ延べ約1万人の踊り手が、『花笠音頭』に合わせて踊りを披露。山形県の花の「紅花」をあしらった笠が咲き誇るような群舞を繰り広げます。
かつては一糸乱れぬ集団美でしたが、現代は華麗な「正調女踊り」、勇壮な「正調男踊り」の対比や、花笠踊りの発祥の地・尾花沢地方のダイナミックな「笠回し」も見どころです。さらに趣向を凝らした創作踊りが、真夏の暑さより熱く祭典を盛り上げます。
「山形花笠まつり」を楽しむための準備はお早めに。2025年は一般有料観覧席の販売が6年ぶりに再開。パレードのゴール付近・山形市役所前に設置されるイス席で、華やかで活力に満ちた花笠踊りを間近で観賞できます。宿の確保は山形駅周辺が便利ですが、山形駅からJR奥羽本線で移動可能な「かみのやま温泉駅」「天童駅」や、JR仙山線沿線の宿も候補になりそうです。
東京駅から山形駅へは、山形新幹線「つばさ」で約2時間30分。経由する福島駅で東北新幹線「やまびこ」と分かれます。
- ※6月30日(月)現在、山形新幹線は6月17日(火)に発生した新幹線車両故障の影響により、一部の直通列車を除き、福島駅で山形・新庄方面へ折返し運転を行っています。ご不便をおかけしますが、当面の間、山形方面へは最新の運行情報や、こちらの乗車券類の発売方法などをご参照のうえでお越しください。
インフォメーション
開催日時(毎年日付固定):
2025年8月5日(火)~7日(木)18:00~21:45頃
開催場所:
山形市中心市街地直線コース(十日町・本町・七日町通り~文翔館前)
駅から会場までのアクセス:
JR山形駅東口から徒歩約10分
問い合わせ先:
山形県花笠協議会 TEL 023-642-8753(山形商工会議所内)
一般有料観覧席:
3,500円 全席指定(各日382席)※先着順
画像提供:
山形県花笠協議会
【福島わらじまつり】江戸時代からの伝統と重み。「大わらじ」を担ぎ信夫山に奉納



2025年は「東北六大祭り」のトップをきる「福島わらじまつり」。8月1日、2日の「本まつり」で披露される「大わらじの練り歩き」では、全長約12メートル・幅1.4メートルの日本一と称される大わらじが福島市中心部を行進します。太鼓や笛、「わらじ音頭」のリズムに合わせ、観客も一体となって「ワッショイ」と声を掛け合い、踊り手が両手に持つ「わらのわ」を振りながら後押しします。
3日目の最終日に行われる信夫山(しのぶやま)羽黒神社・仁王門への「大わらじの奉納」は、江戸時代から続く「信夫三山暁まいり」に由来します。旧正月(2月)に奉納されたわらじのもう片方を夏に奉納すると、両足分が揃うというわけです。旅の安全を祈る奉納は、東北の“お祭りめぐり”の始まりにぴったり!
新たな夏祭りとして始まった「福島わらじまつり」も2025年で56回目。会場内の車道に有料プレミアム席が設置され、パレードの熱気と感動を体感できます。宿の確保は福島駅周辺が便利ですが、福島駅からバス・車で約25分の移動で、名湯「飯坂温泉」も堪能できます。
東京から福島への行き方は、福島駅へ停車する東北新幹線「やまびこ」に乗車。所要時間は約1時間30分。1ヶ月前から新幹線予約ができるので、7月1日までには計画を立てておきましょう!
インフォメーション
開催日時(毎年8月第1金曜日~日曜日):
2025年8月1日(金)18:30~21:00、2日(土)18:30~20:00、3日(日)9:30~
開催場所:
福島市中心部の国道13号(信夫通り)および周辺地区、信夫山 羽黒神社
駅から会場までのアクセス:
JR福島駅から徒歩約5分
問い合わせ先:
福島わらじまつり実行委員会 TEL 024-572-7118(福島商工会議所内)
有料観覧席:
2,000円~15,000円(8月1日、2日)※先着順
URL:
https://www.waraji.co.jp/
画像提供:
福島わらじまつり実行委員会
「東北三大祭り」をめぐって体感するには最短3日欲しい!
まずは限られた期間で、必ず観たい夏祭りをセレクト!「東北三大祭り」をめぐるなら、日程や移動を考慮して、秋田→青森→仙台の順で最短3日間はキープしたいところです。開催市内の宿泊施設は“争奪戦”なのでお早めに! 最寄り駅から移動する場合は、鉄道時刻の確認もお忘れなく。できれば夜空を見上げる心の余裕とともに、存分にお祭りを楽しみましょう。
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取材・文:新井さゆり