自由な発想が大集合! 普段展示していないもの中心の収蔵資料展を探ってみた!
2025/10/29

鉄道博物館(てっぱく)の魅力を伝える連載「てっぱく☆マガジン」、第6回のテーマは10月11日(土)からスタートした鉄道博物館収蔵資料展「100年以上かけて集め続けた67万点の中から、普段は展示していないものを中心に、鉄道はもちろん、鉄道以外も、これ、見てもらえたら嬉しいなと思ったものを、鉄道博物館学芸部メンバーがそれぞれの視点で選び並べてみました展」について。広報担当のWさんが、学芸部のメンバーへの直撃取材とともに紹介します。
じつに119文字! なぜこんなに長いタイトルになったのか探ってみた!
突然ですが、当館に所蔵する資料はどれくらいあるかご存じでしょうか?
答えは、なんと約67万点! しかしながら、現在展示しているものは、展示スペースにも限りがあるためごく一部であり、皆さまにお見せできていない資料がたくさんあります。今回は、そんな普段展示していないものを中心に、当館学芸部のメンバーが自由な発想で選んだ資料を8つのブースに分けて展示しています。
そして、お気づきかもしれませんが……今回の収蔵資料展のタイトル、すごく長いと思いませんか? 私は初めて見た時に〈長い!!〉という印象でした。そこで、この収蔵資料展の企画に携わった学芸部メンバーの1人であるNさんに名称の経緯などを訊いてみました。
――今回の収蔵資料展、とても長いタイトルを付けた理由を教えてください。
学芸部N:率直に言うと、お客さまの目を引くようなインパクトのあるものにしたいと思ったからです。今回は、普段の展示よりも自分たちの手で作り上げる要素が強かったので、今までにはなかったような挑戦的で面白い展示にしたいと思い、長いタイトルを付けました。
――スペシャルギャラリー1の前に設置してあるのぼりや、ホームページ上でのバナーのデザインも印象的です。
学芸部N:この長いタイトルを活かしてお客さまの目を引くようなものにしたいと考えた時に、のぼりにしたら面白いのではと思い、この形で展示室前を装飾しました。バナーも長いタイトルが活きるように、文字の強調や色味にこだわってデザインを考えました。
――今回の収蔵展は、あえて統一したテーマを設けていないということですが、それはなぜですか?
学芸部N:学芸部のメンバーは、主に鉄道を研究しているメンバー以外にも、美術系であったり、さまざまなルーツを持っています。そういった多様な視点と自由な発想をもとに1つの展示ブースを作り上げ、その個性豊かな8つの展示ブースを1つの収蔵展としてまとめることで面白くなるのではと思ったからです。
いざ! 収蔵資料展へ。「鉄道開業200年に関する展示」を探ってみた!
では、8つの独立した展示テーマによって構成されている今回の展示を覗いていこうと思います。
まず注目していただきたいのが、「鉄道開業200年に関する展示」です。蒸気機関車を使用した世界初の公共鉄道がイギリスのストックトン~ダーリントン間で開業したのが、1825年9月27日。鉄道の歴史が始まったこの日から、今年は200という節目にあたる年なのです。このコーナーは、学芸部のIさんが担当しています。
――今回、鉄道開業200年に関する展示をテーマに選んだ理由を教えてください。
学芸部I:鉄道博物館として、世界で初めての公共鉄道が開業してから200年という節目をご紹介したいとずっと思っていました。〈鉄道の父〉と呼ばれるジョージ・スチーブンソンが蒸気機関車の実用化に成功し、車両の製造だけでなく、トンネルや橋の建設など鉄道インフラの整備も行い、1825年9月27日に世界初の公共鉄道が開業しました。今日、鉄道では世界一と言われる日本の新幹線技術も、彼らの築いた技術の延長上にあることを考えれば、功績の偉大さがわかります。9月27日に近いタイミングでこの収蔵資料展を行うということとなり、〈鉄道開業200年〉というテーマで展示を企画しました。
――「鉄道開業200年に関する展示」のなかで、ここは見てほしいというところを教えてください。
学芸部I:3つ見ていただきたいところがあります。まず1つ目が、ロンドン・バーミンガム鉄道の予定線路図です。この資料は、鉄道博物館として初めて公開する収蔵品となります。ロンドン・バーミンガム鉄道は、ジョージ・スチーブンソンとその息子のロバートが一緒に建設した路線です。技師長に任命されたロバートはこの大事業に取り組み、1838年9月17日に開通しました。展示の資料は、開通の3年前に製作された予定線路図となります。大変貴重な資料であるとともに、約190年前の資料がきれいな状態で保管されていたことにも注目して見ていただきたいです。
2つ目は、ジョージ・スチーブンソンの自筆署名書簡です。こちらはスチーブンソンからグラスゴーの実業家であるC.テナント氏に宛てた手紙で、リバプールの運河にトンネルを通して建設する鉄道についてテナント氏から意見を求められ、2つの路線のうち、短いトンネルの方が良いとスチーブンソンが回答しているものです。手紙はスチーブンソンが口述して秘書に書かせたものとされていますが、署名は直筆であり大変貴重な資料です。
最後は、200年前の鉄道開業時に走った蒸気機関車「ロコモーション号」の模型です。通常では本館2Fの鉄道車両年表下で常設展示しており、普段は遠くからしか見ることができないのですが、今回は間近で、しかも360度から見ていただけるようになっています。細かい仕組みなどもご覧いただける貴重な機会なので、ぜひ見ていただきたいです。
「鉄道博物館なのに飛行機?」を探ってみた!
今回の収蔵資料展は、じつは、鉄道以外の展示も行っております。それは、「航空部門」に関する資料の展示です。担当の学芸部Kさんにお話を訊いてみましょう。
――今回はなぜ航空部門に焦点をあてようと思ったのですか。
学芸部K:鉄道博物館では、前身である交通博物館から、船舶、自動車、航空機など交通関連資料を継承しています。鉄道資料と共に、鉄道以外の交通関連資料を組み合わせて展示することにより、時代ごとの旅の姿や、人々の交通とのかかわりを多角的に知ってもらえるのではないかと、この収蔵資料展では航空部門をテーマとして取り上げました。また、現在は鉄道博物館として主に鉄道に関する資料展示を行っておりますが、この機会になかなか見ることのできない収蔵資料をご覧いただきたいと思い、このテーマを企画しました。
――今回の展示で注目してほしいところを教えてください。
学芸部K:航空会社のパンフレットなどを見ていただくことで、当時の旅の様子を知っていただくことができますし、デザインも特徴的なので皆様に見ていただきたいです。今回は、模型とその旅客機が活躍していた時代の資料を組み合わせて展示することも行っています。当時の旅の様子を懐かしんでいただいたり、想像していただきたいと思っています。
普段なかなか見ることのできない他のあれこれも探ってみた!
その他にも、たくさんのオレンジカードやヘッドマークの展示などがあります。また、今回の収蔵資料展は写真撮影可能な場所が多くありますので、ぜひ記念としてカメラに収めてみてください。
また、連携展示も開催しています。当館収蔵の鉄道ポスターをデジタルデータ化した『「なつかしのポスター」デジタルコレクション~鉄道文化ギャラリーにて公開!~』は期間中に渡って展示。10月31日(金)までは、普段展示していない車両模型の中から学芸部メンバーがそれぞれの視点で選んだ「推し車両模型」を鉄道ジオラマに特別展示しております。
普段なかなか見ることができない資料を、ぜひこの機会にご覧いただければと思います。
鉄道博物館収蔵資料展「100年以上かけて集め続けた67万点の中から、普段は展示していないものを中心に、鉄道はもちろん、鉄道以外も、これ、見てもらえたら嬉しいなと思ったものを、鉄道博物館学芸部メンバーがそれぞれの視点で選び並べてみました展」
会期:
2025年10月11日(土)~2025年11月24日(月・振休)
会場:
鉄道博物館 本館2F スペシャルギャラリー1
料金:
無料(入館料のみ)
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