北アルプスに涼風駆ける。「アルプス」「はくば」に乗っていつもとは違う夏を

終電間近の新宿駅、いつもなら家に帰るだけの時間。そんな日常の風景のなかにふと現れたのは、白地に青のラインが爽やかな「白馬」行きの特急列車。こんな時間に特急列車なんてあったかな……？　そんな疑問が涌いてきます。でも、たまには夜行列車に乗って遠くに行くのも悪くない。

──というのは妄想ですが、この夏、そんなシチュエーションが現実となります！ その列車の名は特急「アルプス」。かつて中央線の急行列車として活躍していた車両と同じ名前を冠しています。今回の列車は23時58分に新宿駅を発車し、終点の白馬には明朝の6時22分に到着。よく鉄道で旅していた人にとっては、快速「ムーンライト信州」が思い浮かぶかもしれません。その「ムーンライト信州」は、2018年の運転が最後。新宿から松本、白馬方面を結ぶ夜行列車はじつに6年ぶりの運転となります。

さらに過去まで遡ると、かつての「アルプス」は昼夜ともに運転していました。その後、昼間は中央線特急「あずさ」に役割を譲って夜間のみの運転になり、夜行列車としても2002年に運行を終了。その後は「ムーンライト信州」が中央線の夜行列車として活躍してきました。

今回使用される列車はE257系の9両編成。以前は中央線特急「あずさ」や「かいじ」でも使用されていました。そういう点でも、ほんのちょっとタイムスリップした気分になれるかもしれません。

大糸線は北アルプスの麓を走る自然豊かな路線。今年の夏、松本から白馬までのアクセスに便利な列車、特急「はくば」が魅力たっぷりの大糸線で運転されます。沿線には雄大な自然を感じられるスポットがたくさんあります。例えば……

HAKUBA MOUNTAIN HARBOR

白馬駅からバスに乗ってアクセス。「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」は、北アルプスの絶景を一望できる山頂テラスです。標高1,289mからの眺めはまさに大パノラマ！ 緑濃い岩岳山頂と残雪残る唐松沢雪渓が描く美しいコントラストは、この場だけの爽やかな夏を届けてくれます。また、雄大な景色のお供には併設されているベーカリー「THE CITY BAKERY」のフードやドリンクを。白馬ならではの素材を使った限定メニューも用意されています。

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黒部ダム

富山県立山町に位置する黒部ダム。長野県側から向かう場合は大糸線の信濃大町が最寄り駅で、そこからバスに乗り扇沢駅へ。名前に「駅」とありますが、電車はやってきません。ここでは電気で走るバスに乗り継ぎます。ちなみに2018年まではトロリーバスが運行されていて、バスながら電車のようなパンタグラフが屋根に付いていました。

扇沢駅から先は電気で走る「関電トンネル電気バス」に乗車。関電トンネルは黒部ダム建設工事において最も困難を極めた工事区間で、乗車中にはその歴史が刻まれた大破砕帯を見ることもできます。

黒部ダム駅に到着し、トンネルを抜けると豊かな水を湛える黒部ダムが現れます。その見どころはなんといっても大迫力の放水シーン。水の力強さが伝わる毎秒10トンを超える大放水で、定期的に観光放水を行っています。

さらに元気と時間のある方は、黒部ダムのさらに先、富山県側に抜けるルートに足を伸ばしてみても。途中にある国内唯一のトロリーバス「立山トンネルトロリーバス」は2024年を最後に廃止され、以降は長野県側ルートと同じく電気バスに置き換えられる予定となっています。

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夏の信州の見どころは、このほかにも盛りだくさん。特急「アルプス」「はくば」に乗って、北アルプスの涼風を体感しに出かけてみませんか。

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