JRきっぷで106バスに乗れる! 盛岡・宮古間の移動手段は目的別でかしこく選択!

東北のなかでも有数の「秘境線」として知られる山田線。岩手県の盛岡駅から宮古駅までの移動手段としても知られる路線ですが、盛岡と宮古の間を移動するなら、宮古盛岡横断道路/国道106号線を走行する106バスも便利ということをご存じですか? じつは、昨年4月よりJRきっぷで106バスが利用可能となるテスト運用を実施中。それぞれの利点をもとに、旅の目的に合わせて上手に使い分けるのがよさそうです。

山田線と106バス、ルートの違いは?

JR山田線と106特急・急行バスの路線図

ほとんど同じルートを走行する山田線と106バスですが、大きく異なるのは盛岡駅と区界駅の間。盛岡駅を出発点とした場合、深々と山に分け入り、急こう配を避けるために北方へ迂回しながら標高751メートルの区界峠をグイグイと越えていく山田線に対し、106バスは峠に設けられたトンネルを通過。東北一の標高となる744メートルの高さに位置する区界駅で合流した後は、東に向かってほぼ同じルートを走行します。では、それぞれの特徴を挙げてみると……。

春夏秋冬を体現する山中へ! 美しい自然を存分に楽しむなら山田線

盛岡付近の山田線。ここから山へ向かいます
緑の濃い山中を走る初夏の山田線
視界が開け、車窓から兜明神岳が見える区界駅付近
紅葉のなかを走る秋の山田線
真っ白い雪景色のなかを走る冬の山田線

「秘境線」という異名のとおり、人家のまばらな北上山地のなかを単線で進んでいく山田線。全方位を山に囲まれるという珍しい体験ができる沿線だけに、車窓からは四季折々で美しく色彩を変化させるこの路線ならではの風景を存分に楽しめます。移動手段としてはもちろんですが、「人の手の入っていない自然をのんびりと愛でる」というコンテンツのひとつとして、旅程に組み込むのもよさそうです。

ただし、運行本数は少なめで、盛岡と宮古の間を行き来する列車は上りと下りで1日4本ずつ。時刻表に合わせて他の予定を組むなど、計画的な乗車をおすすめします。

本数が多く、移動時間も短縮! 目的地へ急ぎたいなら106バス

ドーン! こちらが106バス
街中を走行する106バスのイメージ
沿道から季節を感じることもできます
106バスの内観。前面のシートをよく見ると……
Wi-Fiの説明書があります!

一方の106バスは、路線図を見てもわかるとおりに盛岡と宮古の間を直線的に走行。そのため、山田線と比較すると40分~1時間ほど移動時間が短縮されます。盛岡・宮古間の運行数も、平日は12往復、休日は10往復とその他の予定と調整しやすい本数。乗車の際は事前に予約するか、当日の乗車でも座席定員制なので、必ず座ることができるという点も安心です。

さらに、ほとんどのバスにはWi-Fiを完備。設備にお手洗いは含まれませんが、途中のやまびこ産直館でトイレ休憩もあるので、目的地に向けての快適なショートカットが可能です。

山田線と106バスを手軽にスイッチ! 盛岡・宮古間の交通手段の選択がより自由に

そんな山田線と106バスは、昨年4月よりJRきっぷで106バスにも乗ることができるというテスト運用を実施中。その結果、2030年3月31日(日)までの期間でこの取り組みが正式に採用され、盛岡と宮古の間の移動方法がより自由になりました。

プレスリリースによると、今後はそれぞれのダイヤの整理も検討されるとのこと。それなら、例えば山田線と106バスのダイヤを等間隔にすることで、山田線への乗車が難しかった場合に106バスへ時間のロスなくスイッチすることができるようになると、より便利になりそう。

また、運賃は他エリアから盛岡を経由して宮古へ移動する際、盛岡からの移動を106バスへ変更したとしてもバスの初乗り運賃は不要なので、そのぶん、これまでよりもおトクに。往路は景色を眺めながら山田線に揺られ、観光で疲れた帰路は106バスでショートカット……という選択もアリです。

普段の生活において、あるいは旅の途中で、急に予定が変更になったり、気分が変わったりすることはままあるもの。そんなときにも運賃は変わらず、列車とバスのどちらにするかをフレキシブルに選択することが可能です。

山田線と106バス 共同利用について

実施期間:
2025年4月1日(火)~2030年3月31日(日)

※実施期間を変更する場合があります。
※テスト運用期間と連続した日時設定のため、現時点で山田線と106バスの共同利用は開始となっています。

対象エリア:
JR東日本(山田線)
 盛岡駅~宮古駅間(上盛岡駅、山岸駅、上米内駅を除く)
岩手県北バス(106バス) 盛岡駅前(東口)、区界、松草、川内、箱石、川井、腹帯、茂市、蟇目、花原市、千徳駅前、宮古駅前

※岩手県北バス(106バス)には特急と急行があり、それぞれで走行するルート/停車するバス停が異なります。詳細はこちらをご覧ください。

旅で訪れるなら……太平洋がもたらす自然の恵みを堪能! 宮古ってこんなところ

山田線を運転する観光列車「ひなび(陽旅)」の目的地のひとつでもある宮古。本州の最東端に位置し、さらには世界三大漁場として数えられる三陸沖に面しているだけあって、太平洋の荒波が遠大な時間をかけて形成した景勝地に、海の幸をふんだんに使ったグルメなど、自然の恵みを多方面から堪能できる観光地として知られています。ここでは、ありすぎる見どころの一部をご紹介!

観る──【浄土ヶ浜】無骨な海岸線が鮮やかに描き出す青・白・緑のコントラスト

浄土ヶ浜

三陸復興国立公園内に位置する浄土ヶ浜は宮古を象徴する景勝地で、荒々しい断面をさらす鋭利な奇岩が点在する様は、どこか無骨な力強さを持つ彫刻作品のよう。この地の名称が「極楽浄土」から取られているということにもうなずける美しさです。流紋岩の白い縞模様に映える濃青の海と、絶壁を覆い尽くす深緑の松林──天然色だからこその鮮やかなコントラストも圧巻。時間を忘れて魅入られます。

青の洞窟

浄土ヶ浜を海側まで堪能するなら、「青の洞窟」と呼ばれる八戸穴をさっぱ船で遊覧するアクティビティもおすすめ。洞窟内部のカラフルな岩肌、進度によってエメラルドグリーンやコバルトブルーに色付く透明な海面など、外側からは想像できない景色に出会う冒険を楽しめます。

【魹ヶ崎】東経142度04分21秒、ここが正真正銘の「本州最東端の地」。あるのは白い灯台と海のみで、その雄大さに吞み込まれます
【三王岩】海中から柱状にそびえ立つ「男岩」を中心に、両脇の「女岩」「太鼓岩」と合わせて「三王岩」。その堅牢さは、震災にも耐え抜きました
【潮吹穴】打ち寄せた波が幅65センチの岩の隙間から霧状に噴出する「潮吹穴」。国の天然記念物で、荒天の日は潮の高さが30メートルにもなるそう

浄土ヶ浜に加え、リアス海岸ならではの景観をたっぷりと味わいたいなら「みちのく潮風トレイル」を利用した散策もよいかも。「みちのく潮風トレイル」とは、青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸を横断する全長1000キロのロングトレイルで、エリアごとにさまざまなルートが用意されています。軽めの登山に近い準備が必要ですが、宮古の近辺なら魹ヶ崎、三王岩、潮吹穴といった主要スポットを巡ることもできますよ。

食べる──【瓶ドン】ビジュアルからすでに美味しい体験型のご当地丼

これが瓶ドン。海鮮が輝いています……!
海鮮の種類によって、地層がカラフルに変化します

たらフライやお寿司といった海鮮料理に魚介スープのラーメン、ヤギミルクを使用したパンやスイーツなど、宮古のグルメと言えばいろいろありますが、まずはトライしてほしいのがご当地丼の「瓶ドン」。牛乳瓶のなかで地層状に折り重なる、色とりどりの旬の海鮮……インパクトのあるビジュアルから美味しすぎます……。この方式を考えた方、天才ではないでしょうか。ほかほかのご飯に自分で海鮮を乗せて食べる、という体験もワクワクしますよ。

活気のある魚菜市場
さまざまな魚介がズラリと並びます
シートピアなあど(道の駅みやこ)には地元の物産品が大集合

宮古の味は、お土産に持ち帰ることも可能! 瓶ドンをはじめ、漁業のまちだからこその新鮮かつ豊富な種類の海産物が並ぶ「魚菜市場」、物産コーナーやレストラン、遊覧船の発着場も併設する「シートピアなあど(道の駅みやこ)」などでは、海の幸のみならず、地産の農産物や山菜、きのこといった山の幸も人気。素材の美味しさをお家でも味わうことができますよ。

山から海へ……さらにその先への移動も、列車とバスの併用でより便利に

JRきっぷで106バスに乗ることができるようになったことで、ますます便利になる宮古への移動。宮古エリアは自然の恵みを享受できる観光地であると同時に、盛岡から宮古を経由して北の久慈方面へ、あるいは南の仙台方面へと向かう中継地点でもあるため、部分的な利用ももちろん可能です。

盛岡・宮古間の移動を自由に、快適に。それぞれのシチュエーションに合わせ、山田線と106バスの使い分けを試してみてはいかがでしょうか。

  • ・JR東日本(山田線)と岩手県北バス(106バス)の共同経営に関するプレスリリースはこちらから
  • ・宮古の観光情報サイト「宮古観光文化交流協会」はこちらから
  • ・JRきっぷの購入はこちらから

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