リゾートしらかみでGO! <前編>五所川原「立佞武多の館」で驚く!
投稿日:2016年7月20日
田植えが終わったばかりの水田や、新緑が美しい5月下旬。
五能線を中心に、秋田駅~弘前・青森駅を運転している「リゾートしらかみ」に乗り、新青森駅から十二湖駅まで、列車旅をしてきました。
まずは新青森駅から五所川原駅までの乗車レポートと、五所川原の「立佞武多の館(たちねぷたのやかた)」を、前編でご紹介します!
新青森駅で、リゾートしらかみ「橅(ブナ)」編成に乗車
「リゾートしらかみ」は、車窓から沿線の風景をより楽しめるようにデザインされた車両で、津軽三味線ライブといった車内イベント、沿線の駅から始まる観光体験メニューなどが豊富に用意されたリゾート列車です。秋田駅~弘前・青森駅を毎日3往復しています(4月中旬~12月上旬)。
車両は3タイプあり、それぞれ「青池」「くまげら」「橅(ブナ)」といった名前が付けられています。どの車両(編成)がいつ、どの号で走るかは日によって変わります。
東北新幹線「はやぶさ」に乗って新青森駅に到着。在来線のホームで待っていると、やってきたリゾートしらかみ4号は「橅」編成でした。
なお、「橅」編成は、2016年7月16日からディーゼルハイブリッドの新型車両で運転されています。「KEN OKUYAMA DESIGN(代表:奥山清行氏)」がデザインを担当した新型車両について、詳しくは以下のページをご覧ください。
新型リゾートしらかみ「橅」編成 車両のご案内(JR東日本 秋田支社)
この日はどんよりしたお天気でしたが、列車が走りはじめてしばらくすると、田植えが終わったばかりの水田の向こうに、山頂にまだ雪が残る岩木山が見えてきました。“津軽富士”の愛称もある岩木山、なだらかにのびる裾野が美しいですね。
先頭車両の展望スペースに行くと、ミニサイズの弘前ねぷたがありました。ライトを点けられるのが、ちょっと楽しい。
リゾートしらかみ乗車記念スタンプもゲットしました。
川部駅から五能線へ入ります
30分弱で弘前駅に到着。進行方向を変え、走ってきた線路を戻り川部駅へ。ここでまた進行方向を変え、奥羽本線から五能線へ入ります。
川部駅のホームには、五能線の終点駅の標識がありました。ちなみに起点駅は秋田県の東能代駅です。
発車すると間もなく、今度は左側に、りんご畑の向こうの岩木山が見えてきます。
りんごが実る季節に、同じ車窓を見てみたいと思いました。
五所川原駅で、さっそくねぷたがお出迎え!
新青森駅から1時間10分弱で五所川原駅に到着です。
五所川原駅のホームでは、巨大なねぷたの頭部によるお出迎えが! そして、橅編成のねぷたらしきものもありました。ワイパーの作りがとってもリアル。
高さ約23メートル! 迫力の大型立佞武多
駅前の大通りを歩いていると、「立佞武多の館」が見えてきました。大きなビルです。
入場料を払い(車内で入手できる「リゾートしらかみ乗車証明書」を提示すると、入場料が割引になりますのでお忘れなく)、1~4階が吹き抜けになった立佞武多展示室に入ると、高さ約23メートル、重さ約19トンという、祭りで実際に使われる大型立佞武多が3体並んでいます。
これらの立佞武多は、毎年8月4日から8日まで開催される、「五所川原立佞武多」祭りで実際に使われているものです。
百聞は一見にしかずとは、まさにこのことで、はじめて実物の立佞武多を見て、そのスケールの大きさに圧倒されました!
ひたすら見上げていると首が疲れそうなので、展示室内のエレベータで4階へ行きます。壁際のスロープを下りながら、いろいろな高さや方向から、大型立佞武多の大胆な構図と、繊細なディテールをじっくり鑑賞することができるのです。
こちらは2013年の新作「陰陽 梵珠北斗星(おんみょう ぼんじゅほくとせい)」。ローアングルで見上げた時は、ちょっとにやけた顔に見えたのですが、大型スクリーンのある3階から見ると、なんだか男前に見えてきました。
ちなみに、館内スタッフの談によると、「立佞武多の顔は、それを作るねぷた師の顔に似ている」そうですよ。
下の写真左は2015年の新作「津軽十三浦伝説 白髭水と夫婦梵鐘(つがるとさうらでんせつ しらひげみずとめおとぼんしょう)」。釣鐘が海に引きずり込まれる場面だそうで、激しい水の表現に脱帽。
右は2014年の新作「国性爺合戦 和籐内(こくせんやかっせん わとうない)」。こちらはトラを従えさせようとしている場面ですが、逃れようとするトラがこちらに飛びかかってきそうな迫力です!
立佞武多は、こんな風に出陣します!
祭りの際に、立佞武多が展示室から出陣する様子をとらえた写真を見つけました。
スロープの通路の一部が跳ね上がり、そこを出口として搬出されていく様子です。さらにこの後、ビルのガラスの壁面がスライドして開き、街に出ていくとか。
なんという大仕掛け! 実際に出陣する様子を見てみたくなりますね。
立佞武多の製作所も見学できます
立佞武多の館には製作所も併設されていて、見学や、ねぷたの紙貼りなどの体験もできます。
3台ある大型立佞武多は3年間使用し、毎年1台が新作と入替えになるそうです。この時は、「陰陽 梵珠北斗星」と入替えになる2016年の新作「歌舞伎創生 出雲阿国(かぶきそうせい いずものおくに)」の製作中でした。
大型立佞武多はあまりに巨大なため、ある程度の大きさにパーツ化して作っていくそうです。直径3ミリ程度の針金を手で曲げ、ひもでくくって固定しながらワイヤフレームが作られていきます。立佞武多の大きさと比較すると、針金は驚くほど細く見えました。
大型立佞武多、実は約80年ぶりに復活しました
明治時代にその高さの隆盛を極めていた五所川原のねぷたは、電線の普及にともない低いものになっていったそうです。ある時、当時の台座の図面などが発見されたのをきっかけにして、高さのある大型ねぷたが復元され、1998年に祭りの名称を「五所川原立佞武多」として、約80年ぶりに大型立佞武多が復活したそうです。
館内に展示されている立佞武多は、五所川原市の所有物で、立佞武多のデザイナーである3人のねぷた師は、市の職員として製作に携わっているとのこと。
復活した立佞武多の伝統を守り受け継いでいく…という、五所川原市の熱い思いが感じられました。
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岩木山(津軽富士)