紅葉の奥入瀬渓流を散策。五感で味わう秋の旅。
投稿日:2015年9月17日
昨年の紅葉の季節に、奥入瀬(おいらせ)渓流を訪れました。
スタート地点は青森駅。JRバスの時刻表を見ながら計画した、温泉立ち寄り~奥入瀬渓流散策~十和田湖~八戸駅という1日コースです。
朝一番のバスで青森駅を出発。いきなり名湯に立ち寄り湯
午前7時50分。青森駅前のバス乗り場から、JRバス「みずうみ号」に乗車します。紅葉シーズンとあって、バスはほぼ満席でした。
バスは市街地を抜けると、山を登り標高を上げていきます。紅葉名所でもある八甲田ロープウェーを過ぎると、その先には城ヶ倉温泉、酸ヶ湯温泉、猿倉温泉、谷地温泉といったバス停があります。
まだ午前中ですが、温泉好きとしては、このエリアは素通りできません! まずは立ち寄り湯です。
バスに乗ること約1時間半、ブナの林に囲まれた一軒宿の蔦温泉でバスを降りると、山のひんやりとした空気の中に、かすかに甘い草木の匂いを感じました。…思わず深呼吸。
すぐ近くには、紅葉の名所でもある蔦沼があります。紅葉のピークは過ぎていましたが、それでも美しい景色を眺めることができました。「びゅう」のポスターなどでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、朝陽を受け、紅葉がさらに朱に染まる蔦沼の絶景を見てみたいものですね。
蔦温泉は源泉の上に浴槽があり、足元から湧き出す生まれたての温泉を堪能できます。ちょっと熱めのお湯につかって見上げると、木で作られた浴室は天井が高く、そして静かで薄暗い。年季が入った板張りの床に、とうとうとかけ流されていくお湯を眺めていると「このままここで1泊…」という気分にもなってこようというものです。
そんな蔦温泉の庭には、十和田湖と奥入瀬の自然のすばらしさを人々に紹介した明治の文人、大町桂月の銅像がありました。ここ蔦温泉で晩年を過ごしたそうです。
旅を愛し、各地を歩いて訪ねたという大町桂月。傍らの石碑には「酒仙・鉄脚の旅人」と刻まれていました。酒仙はさておき、“鉄脚の旅人”には、どこまでも歩いて行けそうな勢いを感じて、あこがれてしまいます。
お風呂上がりに休憩所で、青森らしくりんごプリンをいただき、午前中からゆったりと“旅の疲れ”をいやしましたが、のんびりムードはここまで。“秋の日はつるべ落とし”とも言いますし、次のバスで奥入瀬渓流へ向かいます。
奥入瀬渓流は全長約14キロ。緩急に富んだ流れや、滝を見ながら歩きます
十和田八幡平国立公園内にある奥入瀬渓流。新緑と紅葉の季節は特に人気があります。 十和田湖から流れ出る奥入瀬川に沿った約14キロに車道と遊歩道が整備され、自動車や観光バスなどを利用しながら、散策やサイクリングが楽しめます。
奥入瀬渓流の玄関口で、観光センターなどが集まる「焼山」から、十和田湖畔の「子ノ口(ねのくち)」まで、合計8つのバス停があります。十分な時間と“鉄脚”があれば14キロを歩き通したいところですが、今回は時間に限りもありますので、焼山から3つ先の馬門岩バス停で下車しました。
少し歩くと「阿修羅の流れ」に到着。
奥入瀬渓流を代表する流れで、阿修羅の名前にふさわしく、清流が岩にぶつかりながら激しく流れている様は、見ていて飽きません。
たくさんの人が足を止め、写真を撮ったり、座ってのんびり眺めたりと、それぞれに思いのままに楽しんでいました。
激しい流れもあれば、穏やかな流れもあります。
こんな流れをじっと見つめていると、心が落ち着いてくるようですね。
自分だけのお気に入りの、名もない流れを見つけてみるのも楽しいのではないでしょうか。
木立の紅葉から目を落とすと、みずみずしい苔が目にとまります。
近づいてよく見ると、苔にもさまざまな種類があることに気がつきます。触ってみると、ふかふかとした感触に気持ちがなごみます。
渓流沿いの滝も見ごたえあり!
奥入瀬渓流沿いに点在する滝も見どころのひとつです。
一段、二段、三段と、少しずつ向きを変えて流れ落ちる「雲井の滝」は、高さ約20メートル。数ある滝の中でも、見ごたえのある滝だそうです。
うっかりすると見逃してしまいそうな、はかなげな滝もありました。
こちらは紅葉の木立の向こうに楚々と流れる「白糸の滝」。
しばらく歩いていると、ゴォーという水音が聞こえ、今回の奥入瀬渓流散策のゴールとしていた「銚子大滝」が見えてきました!
銚子大滝は奥入瀬川本流にかかる唯一の滝。
水量が多く、近寄ると水しぶきや、立ち上るミストに包まれました。
遊歩道の階段を上がりながら、横からの眺め。ウエディングドレスのトレーンのようですね。
奥入瀬渓流散策のクライマックスにふさわしい、美しさと迫力を兼ね備えた銚子大滝に大満足でした。
この時点ではまだ14時過ぎですが、そろそろ帰路につかなければいけません。銚子大滝からバスに乗り、十和田湖で八戸行の最終バスに乗り換えます。
八戸駅から東北新幹線に乗車してほっと一息。
十和田湖滞在はほんの20分で、そういえば、昼ごはんを食べる時間もなかったので、次回はぜひ、温泉で1泊してゆっくりと散策したい、などと思いつつ駅弁のフタを開けて思わずにんまり。
まるで紅葉のようなカラフルさではないですか!
短い時間ながらも、視、聴、嗅、味、触の「五感」で味わった、奥入瀬渓流の秋の旅でした。 この秋、列車に乗ってステキな紅葉の旅をお楽しみください!
<旅のご参考に♪>
JRで行く、おすすめモデルコースをご紹介(めぐれーる)
温泉に泊まり十和田湖、奥入瀬渓流散策
<駅たびnetの観光スポット情報>
奥入瀬渓流